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MARU。architecture 高野洋平+森田祥子/一級建築士事務所

WORKS。

生態系と共に生きる家

建主は、幼少期から自然や動物を愛し、理想とする住宅は、自然環境や多様な生物が別け隔てなく共に生きることができるものであった。5人の家族、犬、ハムスターなどの動物と共に、とりわけトカゲが住む場所を住宅の中につくることが求められた。 そこで私たちは、このような生態系ごとの環境の違いを受け止めながら、それらが接点をもち、共にあることのできる住宅を目指した。具体的には、常に21℃以上が求められるトカゲが暮らす森を住宅の中央に配置し、その周りを居住環境が取り囲む「温熱環境の入れ子」の構成を採用した。次に、採光・通風を制御する壁を、内外を横断するように配置することで、森、室内、箕面の自然の繋がりをつくった。さらに、この壁を拠り所にして、森、室内、屋外の境界となる壁面をヒダ状として、それぞれの応答関係を生み出した。内外を横断する強い壁と、ヒダ状の弱い壁が重なり合うことで、内外に多様な隙間の空間が生まれ、人間や動植物が寄り添う手がかりとなる。多様な隙間は、それぞれの場所性を大事にしながらも、その破れ目を通じて繋がり合う。場所の多様性と連続性を同時につくることによって、さまざまな系が折り重なり共に生きる環境となることを目指している。