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MARU。architecture 高野洋平+森田祥子/一級建築士事務所

WORKS。

OKAMURA OPEN FIELD展示 Blurring Structure — オフセットされた世界

私たちは日常の暮らしの中で、どれほどの情報に触れ、どれほどの意識を持ってそれらを感じ取っているでしょうか。

人間は網膜に入ってきた光を「視覚」し、電気情報に換えて脳に伝達しますが、脳内でそれが一体何なのかを「認知」する過程では、知識や経験に基づいた情報の取捨選択が無数に行われています。つまり私たちは「見えている」ものをそのまま「見ている」のではなく、視覚から得た情報を脳内で再構成して「こうであろうと思ったものを見ている」のです。このことは、私たちが「知覚」しているものと「認知」しているものにズレがある可能性を意味しています。

現代社会には大量の情報が溢れており、私たちはただ居るだけで刺激のシャワーを浴び続ける環境に身を置いています。処理しきれないほとんどの情報はただ「知覚」の外側を流れていきます。

大量の情報の中から無意識に選び取った「認知」は、私たちの体験を本当に豊かにしているでしょうか。

あるいは無数の刺激の中で、私たちは強い意志を持って空間を「認知」することの鮮やかな感覚を、日常の中に保てているでしょうか。

では逆に、よく見えなかったらどうだろう。

日常の風景の解像度をあえて下げ、うすぼけた世界に入った時、私たちはより強い意志を持って「見る」ことに貪欲になり、空間体験を掴み取ろうとするかもしれない。

これはそんな実験のための空間です。